チームラボ メンバーインタビュー
コンセプトを重視する大学の課題が、今の仕事に活きている
UI/UXデザイナー / 加藤 花夏子
新卒入社
UI/UXデザイナー / 加藤 花夏子
2012年武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。2012年デザイナーとしてチームラボに入社。

今の仕事内容

デザインチーム所属で、Webを中心にデザインの仕事をしています。担当プロジェクトとしては、ファッションブランド系のプロジェクトが多いです。他にも、チームラボが展示会をするときの公式サイトや、チームラボのプロダクト「インタラクティブ4Dビジョン」の操作インターフェイスも作ったりしています。デザインをつくる以外にも、Webサイトで使うビジュアルの撮影のディレクション、プロジェクションマッピングのイメージボードを描いたりもします。

デザインチームは20人ほどいますが、コミュニケーションを密にとりあうため、それぞれ数人のチーム単位に分かれて、日々の細かいレビューや技術交換を重ねてクオリティアップをはかっています。私はそのチームのひとつのリーダーも担当しています。とはいっても、リーダーの役割は、会議の招集、案件の把握、リソース管理の調整、メンバーの日々の不安事の相談などが中心です。制作プロセスに上下関係は持ち込まないフラットな集団なんです。

実績採用について

ご提出いただいた実績については、まずアイデアのよしあし、かつ、そのアイデアがきちんと消化されて、デザインに落とし込まれているかを見ると思います。それらのプロセスが、きちんとデザインに現れているような作品は、すごく良いなと思います。Webデザインを例に取っても、少なくとも私がいたころは、美大ではWebのことはあまり教わらなかったし、技術は常に進歩するので、入社してからもずっと勉強は続きます。そう考えると、私の場合は、制作時点での技術的な完成度も、もちろん大事だとは思いながらも、着想からデザインまでがブレない一本の線でしっかりつながっているような、思想の見えるアウトプットに、良い印象を抱きます。

ポートフォリオも、単にテクニック的な凄さや受賞歴をアピールするだけでなく、みなさんの進みたい方向を表現するものであったらいいな、と思っています。私の場合だと、デザイン分野ではグラフィックやプロダクトも進路候補に上がるなかで、チームラボでWebデザインを中心にする仕事を選んだのは、テクノロジーの入ったものを作ってみることに興味があったからです。Webデザインの仕事は、エンジニアとの距離も近いですし、プロダクト方面での実績もあったチームラボならば、やりたいことができるなと思いました。ポートフォリオもそのことが伝わるようにまとめました。

学生時代のポートフォリオ

私の学生時代における制作で、印象に残っているもののひとつは、METAMORPHOSEというライブイベントのために作った、照明になる大きい展示物でした。イベントのための期間限定サークルを組んで、いろんな学科の人を集めて集団制作をしました。デザイン学科だけでなく、建築や工芸の分野からもメンバーを集めました。私はデザイン情報学科にいたので、制作においては、電気系統の配線を担当したりしました。

その経験からテクノロジーを使ったクリエイティブに興味を持ちはじめて、どんなアーティストがいるのかを調べていくうち、チームラボの活動を知って、興味を持つようになりました。

大学の授業で扱ったものが、意外と今の仕事に活かされていたりします。自分のいた学科はちょっと変わっていて、目を引く綺麗なビジュアルも大事だけど、それだけじゃなく、もう少しデザインの中身や、伝えるべきものやコンセプトを考えられるデザイナーになって欲しい、という方針を掲げていました。その方針に沿って、新しいコンセプトを立ててデザインを提案するという課題がありました。イマジネーションだけでいきなりデザインを始めることはせず、何のためのデザインか、という地に足のついた原点を見つめることからスタートします。例えば、屋台のデザインをするときには、現場で課題の聞き取りをしたり、顧客の顔ぶれや要求はどんなものなのかというマーケティング面からアプローチする。そして、チームを組んで分担し、成果を持ち寄り、融合して、それをレビューすることで、また課題が見つかって…ということを繰り返しました。

いま思い返せば、この体験は、チームラボの今の仕事にも、つながっていると思います。チームラボのデザインチームでも、ビジュアル的な新しさだけを追求することには意味がないと考えていて、そのデザインの本質は何か、みたいな部分の練り込みに時間をかけています。大学の授業を制作実績に入れると、自分のオリジナルの活動をしていないかのような印象を与えてしまうのではないかと心配される方もいると思いますが、自分の活動を語る上で、本当に意味のあるものだったら、ポートフォリオに入れてもよいと思いますよ。

就職活動

いちばん最初に、職業としてのデザイナーを意識したきっかけは、愛知万博。高校生のころ住んでいた家が、万博会場の近くで、チケットを、たくさんもらうことがあったんです。それで、何回も観に行ってたのですが、世界中から集まったパビリオンとそこに飾られている作品を見ながら、自分もいつかこういうものが作りたいなって思いました。自信とかは全然なかったんですけど、単純にすごいから、やってみたいなと。

その流れで、武蔵野美術大学に進学しました。卒業後は、企業の中でデザインを仕事にしていきたいなと思っていました。大学院に進んだりアーティストになったり、というように、自分のためにものをつくるということに、あまり興味がなかったんです。世の中にあるいろんなサービスを見たり、使ったりしていると「こうだったらいいのになあ」と思うことが、たくさんあります。そういうサービスのほとんどは個人ではなくて、企業が提供しているんですよね。自分の表現活動を追いかけるというよりは、誰かのためのものづくりを、デザインの力でその付加価値を高める仕事がしたい。それには、企業に就職するのが一番の近道だろうと考えたんです。

ちなみに、チームラボの選考では、最終面接のあとに、インターンとして働くことになりました。その中で課題をこなしたり、実際の業務のお手伝いをしました。その後、晴れて内定になりました。友達に頼まれて、webデザインをしたことはあったんですが、業務レベルでの制作経験はもちろんないし、勉強をしながら必死で追いついていく感じで、なんとか内定までたどり着くことができたという感じです。

入社前後のチームラボの印象は?

実は、就職活動をするまでチームラボのことをほとんど知りませんでいた。私の場合、選考過程でインターンとして業務のお手伝いもしていました。なので、入社前後の印象ギャップは特になかったです。現在も、当初から志望していたWebの仕事をメインにしながら、部分的にプロダクトの仕事にも関わっていたりしています。

学生の皆さんへひとこと

チームラボは、学部での制作の延長みたいな雰囲気の中で、ものづくりができる会社。管理や強制は少ないぶん、クオリティを常に要求されます。また、個人ではなくチームでのものづくりも、すごく大事にしています。そういう方向を目指すデザイナーには、すごくいい環境なんじゃないかなと思います。